【予知戦略】プロ棋士の読みの組み立て

 プロ棋士は、認知科学の世界において「予知戦略」と呼ばれる方法で先読みをしています。
予知戦略とは「理想を実現するための構想を作ること」です。
元奨励会三段のあらきっぺ氏は予知戦略を「組み立て」と呼んでいます。
 
 では、どのように組み立てを作ればよいのでしょうか?
まず、理想的だと思える局面をイメージします。その局面に至る手順を逆算して組み立てます。
行き当たりばったりに指し手を考えるよりも、方針や目的を考えてからのほうが、
すべきことが分かりやすくなるからです。また、指し手を評価しやすくなります。
 
 しかしながら、成功図をイメージすることは意外と難しいものです。
認知科学の研究によると、相手の着手をパスして、自分の指し手だけ進めるという方法が提唱されてます。
将棋のルール上、パスは出来ないのですが、考えやすくするために使ってみましょう。
 
 また、相手の指し手をすべてパスすると、読みが破綻することがあります。
その場合には、必然の応酬を考慮すべきでしょう。
先述したあらきっぺ氏は二手一組の手順は三つのパターンがあると言っています。
第一に、駒の取り合い。
第二に、駒取り→逃げる、またはヒモをつける。
第三に、敵陣を攻める→受ける。
以上の三つがあります。
この必然の二手一組の手順を使うことで、相手に変化の余地を与えることなく、
広く深い先読みが可能になります。

 予知戦略とは「理想を実現するための構想を作ること」であり、
理想的な展開を考えるには、相手の指し手をパスして先読みを進める方法が必要です。
少し補足しておくと、現在の局面から成功図までの手順を考える方法としては、
成功図を作るために使った指し手の組み合せを入れ替えるやり方が提唱されています。

それでは、また次回。
ありがとうございました。

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