質疑応答1 棋譜並べの効果と方法

質疑応答1 「棋譜並べの効果と方法」
質問者:KYOUGENMAWASHI
 こんにちは棋譜並べをすると得られる効果、そしてより効果的な棋譜並べの方法は何だと思いますか?
 
解答
1.棋譜並べの効果
 将棋の三大勉強法の中の一つに「棋譜並べ」があります。
 棋譜並べとは過去に指された対局を一手一手再現するという練習法です。
 棋譜並べについて多くの人は効果や方法について疑問を持っているのではないでしょうか。
 練習するからには効果的な方法でトレーニングしたいはずです。
 棋譜並べの効果は将棋連盟のホームページを読んでも
 書いてはあるのです。
 しかしながら棋譜並べの効果について
 科学的根拠に乏しいものばかりでした。

 結論から言いますと、棋譜並べをすると決断力が高まります。
 カナダのトロント大学の研究チームは
 「エッセイよりも短編小説を読む被験者は認知的完結欲求が低い」と指摘しています。
 認知的完結欲求とは、答えのないものよりも結論が決まっていることを好む傾向のことであり、
 小説と棋譜並べを関連付ける要素でもあります。
 小説と将棋は一見何の関係もないように思えますが、
 答えはないに等しく正解がわからないという共通点があります。
 この認知的完結欲求が高い人はわずかな情報から物事を判断してしまうので、
 意思決定の質が低下する傾向があります。
 つまり、小説を読むのと同じように棋譜並べをすると
 直観力が高まるわけです。

2.棋譜並べの効果的な方法
 認知的完結欲求が低いというのは別の言い方をすれば、
 知的謙遜レベルが高いということです。
 知的謙遜は次の大きく2つの意味があります。
  ・世の中の不確実性に耐えられる
  ・自分の知識の範囲を知っている
 今回の対象は前者の意味です。
 では、その知的謙遜はどのように鍛えればよいのでしょうか。
 2つの棋譜並べのやり方を紹介します。
 一つ目が、ティーチングテクニックです。
 これは、局面を他人に説明してみる手法です。
 ティーチングテクニックはさまざまなバリエーションがあり、
 そのなかに10歳児教授法があります。
 これは、「この局面を10歳の初心者に教えるにはどうすればいいだろう?」と考える方法です。
 つまり、1手並べるごとに変化について分かりやすい説明をしてみるということです。
 二つ目が、クリティカルシンキングです。
 これは自分の思い込みをチェックする考え方です。
 局面ごとに次のような6つの質問を自問自答してみます。
  (1)着手の具体的な目的は何だろう?
  (2)着手について分かっていないことは何だろう?
  (3)いまの着手を最善手だと考えた理由は何だろう?
  (4)その着手にどんな意味があるだろう
  (5)他の人はこの局面でどう指すだろう?
  (6)いまの着手の代わりにどんな着手が考えられるだろう?
 
3.まとめ
 ・棋譜並べの効果
  ・直観力が高まる
 ・棋譜並べの方法
  1.一手進める
  2.自問自答しながら局面について考える
  (1)着手の具体的な目的は何だろう?
  (2)着手について分かっていないことは何だろう?
  (3)いまの着手を最善手だと考えた理由は何だろう?
  (4)その着手にどんな意味があるだろう
  (5)他の人はこの局面でどう指すだろう?
  (6)いまの着手の代わりにどんな着手が考えられるだろう?
  3.考えた内容を初心者にも分かるように説明する
  4.次の局面へ進む

回答ありがとうございます。

非常に参考になる知恵をありがとうございます。初心者に教えるつもりで考えるというのは目から鱗です。普段棋譜並べをするときは解説を読んでなんとなくの理解で済ませていましたが、次からは実践してみようと思います。

経験者には当然のことでも初心者にはわからないことがあります。
初心者に教えるのは簡単なようですが、
かなり難しい面もあります。
そんな時は次の2つの方法がおすすめです。
 ・相手が知っている知識を使って説明する
 ・比喩表現を使う
この方法は強くなるだけでなく、局面の理解が進むことや
実際に指導するための方法としてのメリットがあります

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